硯匠庵勤務・硯の里キャンプ場管理人 中川裕幾さん
雨畑地区在住の中川裕機さんは、全国でも有数の品質を誇る雨畑硯を産出加工する硯匠庵にお勤めしていますが、同時に近隣にある硯の里キャンプ場の管理人もされています。
中川裕幾さん
施設の流儀、おもてなしこだわりポイント
【硯匠庵】雨畑硯を多くの人に見て、触れて、使用してもらい、その良さを感じ取ってもらえるような展示や案内、体験プログラムなどに力を入れています。また、近年、筆・墨・硯を使うことが減っています。硯匠庵では『書道』自体を今後残すべき大切な文化としても捉え、雨畑硯がその一端として担っていければと思っています。
【硯の里キャンプ場】 お客様により様々なキャンプの形があります。ご利用される方が求める過ごし方を提供できるように努力しています。また、雨畑という地域を中心に様々な企画を行い、また早川町を知って頂くきっかけが沢山作れるようにしています。
施設の仕事の内容を教えてください。
【硯匠庵】 主に、硯刻士見習い(職人になるために学んでいる)として、採石・選別・加工の技術を磨きながら硯の製作を行うことと、硯のミュージアムの職員として来館者の案内・体験指導・販促業務など様々な形で雨畑硯を伝える仕事をしています。
【硯の里キャンプ場】 キャンプ場の利用対応や観光案内から、パンフレット作成・配布やホームページの更新などの広報営業業務、子どもキャンプなどの企画立案・運営。また利用される方に気持ちよく利用していただくために日ごろから場内の施設・設備・環境の整備を行っています。
この仕事を始めたきっかけは?
【硯匠庵】 きっかけは、硯匠庵の館長さんからお声をかけていただいたことです。その時、「私自身が雨畑を好きなこと」、「ものづくりを好きなこと」、前職で早川町の豊かさを伝える仕事をしていたことや「雨畑硯の魅力・後継者問題」などを知っていたこともあり、これはやろう!と思い、始めました。それに、雨畑の伝統工芸へ携われるなんて夢のようなお話しで素直にとても嬉しかったです。雨畑硯の文化は、山の暮らしならではの上に立っているものだと思います。ただの硯作りではなく、自然を生かした伝統工芸です。原石はこの地域で採れるものですし、古くから使っている道具も手作りの物だったりと、全てにロマンを感じています。
【硯の里キャンプ場】 閉鎖の話が持ち上がった時以前から前職の仕事で関りが大きかった事と、この地域を盛り上げたいという思いもあり、管理人をやらせていただく事になりました。その時に同じグループの硯匠庵の硯職人へのお話もいただきました。
中川裕幾さんとは?
インドアよりのアウトドアで、ものづくりと、人と関わることが好きです。
施設の夢はありますか?
雨畑を中心に、これからもっと早川町や、雨畑硯を知ってもらい、体験してもらい、地域に関わっていく人を増やしていきたいと思います。今の世の中に合わせた様々な形で素敵な魅力を伝えていきたいです。また、硯匠庵、硯の里キャンプ場、ヴィラ雨畑と地域の施設間での連携や、地元の方との協力関係を強化し続けていきたいと思っています。
早川町の好きな風景は?
やはり自然豊かなところですね。自然の中で働け、暮らせるところが魅力的です。
趣味はありますか?
キャンプ、創作活動、映像鑑賞、ボウリング(穴をあけるのではなく、ピンを倒す方)
特技、資格はありますか?
資格は、学芸員資格、自然体験活動指導者(NEAL)、自然観察指導員(NACS-J)など
早川町で一番好きな場所は?
雨畑です。
今思っている事、考えている事は?
いずれは硯職人として一人前になり、次の世代にも繋げていきたいと思っています。硯作りを始めて今年で4年目となります。これまで作ってきた過程で、原石を見る目、彫り方、細部の工夫など、様々な発見の連続でした。継続は力なりという言葉を身に染みて実感しています。これからも、硯を作り続けることを大切にしていきたいです。 また、硯職人としても、キャンプ場の管理人としても、価値観の視点はひとつだけでなく、沢山あればあるほど沢山の人の役にたてるのだと思います。そのためには、私自身が、見て、聞いて、触れて、体感して、楽しんで知識を増やしていこうと思います。
筆者主観的目線〈暮らして10年目〉
古くから続く雨畑硯も山の暮らしならではの上に立っている文化だと思います。という中川さんの言葉が印象に残りました。中川さんはここに暮らし古くからの文化を守り続け、その上で培われた人々の人柄や人間性にとても魅力を感じたと言います。 中川さんは雨畑地区に移住して10年が経とうとしている今、早川町の大切な伝統文化の担い手として活動しています。10年という月日はこの地域に馴染み理解し魅力を感じさせてくれた貴重な時間だったようです。そこには思いつきだけではなく、しっかりとした土台の上に立つ確信と目指す高みが見えているような気がしました。また同時に雨畑の魅力を人々に伝えていくという事にも適役ではないかなと、「人と話す事が好きです」と笑った顔を思い出しました。